ネタバレあり/マチルダ、東京公演が終わっちゃいますね…しんみり…
「マチルダ」の感想をネタバレ有りで書きたいので、
社会人になって一年経った頃、
きょとんとした。
そんな背景がある私が観た感想なので、
- ■トランチブル、コンプリート。
- ■そういえば、達成トランチブルは…
- ■ステージセットと身長と。
- ■誕生の奇跡
- ■私の中のゆがみと、トランチブルと、Mrs.ワームウッドと。
- ■つらつらと。
- ■残念だなと思うこと
- ■終わったかのようにいっぱい書いたけど
■トランチブル、コンプリート。
イープラス公演の安さに見事に釣られた結果、
小野田トランチブルと達成トランチブルは前回書いたので、
かわいいというツイートをたくさん見た気がしていたし、『
黄色いリボンが華やかな「The Hammer」。おそらく「かわいい!」はここかと。でも、
ダンスのことなど全然知らない私が感じたことだから「
あと、どこがどうとははっきりとは覚えていないんだけど、
達成トランチブルは「
The Smell of Rebellionのホーテンシアの吸入薬は大貫トランチブルは
達成トランチブルが香水で、小野田トランチブルは点鼻薬。
こんなところにも個性が(笑)。3人で相談したのかな。
The Smell~と言えば、
■そういえば、達成トランチブルは…
開幕から間もないときよりも声のキーが少し下がったような気がします。
それで余裕が生まれたのかは分からないけれど、
そうなると、前回のブログに書きなぐった「
■ステージセットと身長と。
最初に観た回の席は14列目で、比較的低い位置にある席でした。
ステージの上部に届きそうなほど高い図書館の本棚を下から見上げ
あぁ、これはマチルダの目線から見た世界なんだ、
だから、
そして、主観であるなら、
確かに、
単に憎らしいだけの登場人物たちだったら勧善懲悪で分かりやすいの
■誕生の奇跡
赤ちゃんはひとりいるから要らないというMrs.ワームウッド。
赤ちゃんは息子ではなく、娘だったと落胆するMr.
残念ながらワームウッド夫妻のように子に愛情を持てない親はいる
でも、Mrs.
さすがに子どもにそれを奇跡だと思えとは言わないし、
とはいえ、「Miracle」は毎回泣く。あぁ、これが普通の子どもたちなんだ…って。
そして、マチルダが自分の境遇はほかの子どもとは異なることを理解し、それを隠そうとしているのがつらい。
少々自分語りになってしまうけど。両親の「作品」として養育されてきたけれど、本質的に両親の「子ども」にはなり得なかった自分。
もし、両親ではない人の手で育てられていたら安定的な愛着関係を得て人間関係で苦労しなかったかもしれないと何度も考えたし、最近になって知ったけれど幼少期には私を母から引き離すべきだと親戚たちの間で話が出たこともあったそうです。ただ、その話から間もなく生まれた弟は普通に育てられたため、私の問題はうやむやになり、弟とは異なる扱いのまま育ちました(こういうところもマチルダに似ていて結構びっくりしたんですよね…)。
だから、「マチルダ」が両親の改心ではなく、ハニー先生が引き取るという結末を迎えるのは非常に現実的だと感じられて、そういった境遇にある子どもにとって希望だと思うのです。大人ってそう簡単に変わるものではありませんから。
私がそういった境遇にありながら、大きく道を踏み外すことなく成長できたのは、祖父母や近所に住む大人たち、仲が良かった子どもたちが気に掛けてくれていたからでした。ご近所さんたちは私を食事に招いてくれたり、泊めてくれたり、レジャーに連れていってくれたりしました。30歳をとっくに過ぎて久しぶりにあった男性の友人が「ねえ、おかあさん、まだこわいの?」とこそっと尋ねてきたときには思わず爆笑でしたが。
ハニー先生になるのは結構覚悟がいることだけれど、フェルプスさんになることはできるかもしれないし、そういう場面に遭遇したら手を差し伸べることができる大人でありたいと思っています。
■私の中のゆがみと、トランチブルと、Mrs.ワームウッドと。
トランチブルが好き。というのは推しがキャストのひとりだから、ということもなくはないけれど、ルールにがちがちに縛られて育ってきたせいで、とりあえず言うことを聞いておけばいいという環境が嫌いではなかったりする、というのもあります。
高校時代は毎日4時間ほどしか眠れなかったけれど、山のように出される課題をひたすらこなしていれば、難しい大学に入れました(ちなみに課題を溜め込むと容赦なく頬をぶたれました。今では考えられないけれど、当時は当たり前だったんですよね…)。
仕事でも、質問にすぐに回答をくれて、決定権があって、いざとなれば他部署に抗議を入れてくれるような攻撃性も持つ強い上職者と関係を絶対に作ることで円滑に進めようとする傾向があります。
逆に、実家から遠く離れてひとりで暮らし、何にも縛られていない大学~大学院時代の私は、何をしていいのか分からず、半引きこもり。
だから、私はトランチブルみたいな人に取り入ることで、それなりの平穏を得たい!
楽したいとは決して思わない。
彼女のような人の庇護の元で馬車馬のように働きたい!そして、彼女のような人に認めてほしい、愛されたい!
文字にしてみて改めて思ったけど、マジでクズだな、あたし(笑)。
けど、この感情って、マチルダに対しても持てる。
彼女も「正しくない!」って言い切るほどの明確な判断基準があって、強いし、指示も出してくれる。
明と暗に分かれるけれど、根っこの部分でマチルダとトランチブルは似ているとも言えるんじゃないかなぁ……とドクズなあたしが言ってみる。
そして、Mrs.ワームウッドが私は大好きでね……
大塚千弘さんのMrs.ワームウッドが好き。
お勉強ができるよりかわいい子がいい(男の子は不良がいい)みたいな価値観が深く根付く土地で育ったんですが、我が家は親が勉学至上主義。派手なことをやってみたいけどできない、だから周囲に認められていない気がする(っていうか、実際、随分いろいろ言われたね)…という抑圧された状態で育ってしまって(笑)。だから「Loud」で彼女が叫んでいることは、あの頃の私がなってみたかった姿そのもの。
霧矢大夢さんのMrs.ワームウッドは「こんなこと言ってるけど私これに100%納得しているってわけでもないのよ」的なちっちゃな苛立ちを感じ取ってしまうんだけど、大塚さんのは「マジでそれしか知らないし!」っていう感じがする突き抜けた態度がすごくすごくかっこかわいい。
マチルダに対する彼女の態度は紛うことなき虐待であって許されるものではないけれど、彼女が着飾ることに価値を見出し、自分の美しさを認めさせるためにダンスに打ち込むということ自体は素敵なことだと思う。着飾る、で止まってたら「ふーん」で終わるけれど、あのダンスは称賛するしかないでしょ、と。
あの甘くかわいい声と凄みの効いた声と甲高い声を行ったり来たりするのも心地よくて。ほんと好き過ぎて、ルドルフォに嫉妬しそうだし、オペラグラスでガン見してしまってすみません。
だから、私はトランチブルが上司で、Mrs.ワームウッドがパートナーだったらいいなー!!って思ってます。
(歪んでる自覚は一応あります)
■つらつらと。
アマンダをトランチブルが投げ飛ばすシーン。トランチブルの巨体にちっちゃなアマンダがすっぽり隠れるので安全確保のために何をやっているのかなかなか見えなかったんですが、角度によっては普通に見えてますね。意外と簡単な方法で脱落しないようにしてますね。
小さいとは言え、持ち上げて結構なスピードで回すんだから、すごくない…??男性キャストじゃないと無理なの分かる。
ちなみに、
仕掛けといえば、大きなチョコレートケーキが本物っぽいのに、
斎藤司さんのMr.ワームウッド、「Miracle」の「タマとサオがなーい」の「なーい」のところがかっこよくないですか?
田代万里生さん・斎藤准一郎さんは高く張った感じで伸ばしますが、司さんのは低めでオトナな雰囲気。
ぶるっときちゃって、なんなんだいまの震えは…と思ったんですが、次に観たときにも、うわぁぁぁぁぁってふるふるしちゃうくらいかっこよくて。
けどさ、「タマとサオがなーい」がかっこよかった!!ってすごく言いづらくない?ツイートするのもアレだし。画像じゃないけどセンシティブな内容だし。でも、ほんとにそこで「あ。斎藤さんがまたミュージカルに出演するときは絶対観に行こ」って思ったからね。
またもや、少々自分語りですが。
私、弟が生まれたときに「ねぇ、あたしはどうしてこの"むし"がついてないのー」と言い、おむつ交換の度に覗きに行くという執着を見せてたんだけど、大人になってからは「ねぇ、これいいなぁーあたしもこれほしいなぁーどうしてついてないんだろー」と恋人たちに言い続け、震え上がらせていた前科があります。
ほんと、どうして、
タマとサオがなーい!!!
あの瞬間、Mr.ワームウッドとともに心の中で叫んでるからね、あたし。
■残念だなと思うこと
書こうか書くまいか迷いつつも、敢えて、誰かの目に触れてもいいという覚悟で書きます。
子どもキャストのレベルの違いがかなり大きいと感じました。
嘉村咲良さんは素晴らしいと思います。
複数回観ましたが、ことばを観客に届けるという想いが感じられる演技と歌唱でした。
嘉村さんのマチルダは感情表出が大きくないという設定に沿っていて、感情が膨らんでしまいがちなシーンでも先走らずに余裕を持って喋っているように見えます。
例えば、脱出名人とアクロバットが危険な技に臨むシーン。台詞が多いし、影絵でストーリーが進んでいくから絶対間違えられないし、音楽が大きいし、内容も緊迫感がある。すごく難しいシーンだと思うけど、嘉村さんは緊迫感のある物語を臨場感たっぷりに語りつつも、あくまで語り手としてそこにいる、という落ち着きが感じられてすごいなぁと思いました。
ですが、嘉村さん以外のキャストの方々で私が観た回の中では、何を言っているのか分からない箇所がところどころあったり、中にはかなりの箇所が聞き取れなかったりする方がいました。開幕直後は音響の問題もあったように感じましたが、それが改善されて開幕から相当の日数が経ってからもほとんど変わらない方もいました。
原作を読んだ上で何度も観に行く私のような人間は変わり者であって、大抵の人にとっては一期一会です。
小さな子どもがたくさんの台詞を覚えて、上手に歌を歌っている、すごいな。それはそうだと思います。
けれど、それは舞台に立つための最低限のレベル。
ことばを舞台上の登場人物に届けられればいいのではなく、観客にもきちんと届けられてこそ、仕事だと思う。
きついことを書くけれど、S席14,000円という決して安くはないチケットに見合うだけの演技をしてほしいと思いました。
でも、これは子どもが努力してどうにかなる問題でもないような気もしています。子どもの滑舌や音域では聞き取りづらくなる単語はある。うん。
子どもが出演する舞台やミュージカルを観る機会がほとんどなかったので、「いや、子どもはそういうものだよ」と言われたら「そうなんだ…」と言うしかないんですが、なんかね、一応、お気持ち表明じゃないけど、うん。一応、書いておきたかった。
■終わったかのようにいっぱい書いたけど
まだ行きます。
5日は確定で、6日は迷ってます。